HAL財団

北海道農業に 新しい春(HAL)の息吹きを

「大地の侍」への思い

上映セミナー100回を迎えて

東映映画「大地の侍」が製作されたのは、今から68年前の1956年。北海道開拓の初期を描いた35mm映像を初めて観たのは、今はなき札幌・狸小路の「東宝プラザ」でした。2011年夏のことです。いつ切れるやもしれない荒れた映像、しかし武士たちの苦渋の選択と北海道開拓の原点を描く貴重な映像でした。

10年の歳月を経て、その記憶が胸に蘇(よみがえ)ったのは、新生HAL財団の在りようと役割を模索していた時のことです。「あの“大地の侍”は、北海道農業への理解と共感のすそ野を広げていく上で、心に染み入る生きた教材になるのではないか…」。その想いを胸に、製作会社とのやり取りに難儀しつつも最終的には深い理解をいただき、初めてのDVD化が実現。HAL財団として2枚のDVD映像を手にできたのは、2021年初春のことでした。

2021年4月、全道エリアを対象に正式に「上映セミナー」をスタートさせてから3年。多くの皆さんのご協力、ご支持をいただき、思いもよらず100回を越えて“上映セミナー”が継続して開催されています。上映の最初と最後に重ねてきた「今、なぜ“大地の侍”なのか」「その時代を知り、どう今と未来の糧にするのか」をそれぞれの胸に問いかける対話を蓄積してきました。その輪を大きく広げつつあることに感謝するばかりです。

大地の恵みを紡いできた先人に感謝し、この地に生きるエネルギーを湧き立たせてくれる普遍的映像として、これからも“上映セミナーの旅”を積み重ねて参ります。引き続きのお力添えをお願いいたします。

2024年7月30日
一般財団法人HAL財団 理事長 磯田 憲一

上映会の様子

2023年12月19日
上川町POLTO

2024年2月17日
札幌市資料館

2024年4月10日
東京農業大学 北海道オホーツクキャンパス

2024年5月27日
上川総合振興局

磯田憲一が語る「大地の侍」の魅力

農業は、北海道の基幹産業と言われるものの、農業人口は減少を続け、後継者不足も顕在化してきています。
しかし、“生命の産業”でもある「北海道農業」の役割を考える時、その重要性は、今後一層高まっていくに違いありません。

そうした中で、一本の旧い映画と出会いました。
小説家・本庄睦男の「石狩川」を原作とする東映映画「大地の侍」です。
戊辰戦争で敗れた東北の藩士たちが、遠く離れた未開の大地・北海道で開拓民として生きるべく奮闘する姿を描いたものです。

10年程前、札幌・狸小路の、今はなき映画館で偶然出会って以来、心に残り続けてきました。
1956年製作の映画ですが、北海道の開拓の歴史を知る上で大変貴重な史料と言えるものです。
同時に、農業の今はもとより、北海道の未来への道筋を考える上でも、私たちに多くの示唆とエネルギーを与えてくれるものだと感じています。

このようなことから、昨年(令和2年)、私が関わってきた一般財団法人北海道農業企業化研究所(HAL財団)を大きくスリム化し、公益的事業に特化した団体として再スタートさせたのを機に、昨年夏以降、株式会社東映に、残されているマスターフィルムからのDVD化を要請いたしました。
「大地の侍」は、これまで、商業目的でDVD化されておらず、東映としても初めての事例ということもあって調整は難航し、長い時間を要しましたが、先日ようやく当方の想いが形となり、契約までに漕ぎ着けました。
将来にわたる著作権料の支払いも終え、今後、道内各地でセミナーを兼ねた上映会を開催できることになりました。

明治維新以降、たかだか150年の間に、このような形で本格的な開発が進められた事例は、世界的にも類例がないと言われています。
その契機となった「士族開拓」の実際を、このようなドキュメントを通して知り学び、未来へ繋いでいくことは、国内外の多くの皆さんにとっても「普遍性」があるのではないかと、おこがましくも考えているところです。

このプロジェクトへの道民の方々のご支援、ご協力をお願いいたします。

一般財団法人 北海道農業企業化研究所(HAL財団)
理事長  磯田 憲一

「大地の侍」情報コーナーTOPへ戻る