HAL財団

「家業」から「地域企業」へ

WEB版HALだより「テキスト版」

2025年1月28日号(通算24-44号)

第20回HAL農業賞受賞者決定

一般財団法人 HAL財団(理事長 磯田憲一) が主催する 「第20回HAL農業賞」について、以下の通り各賞が決定しましたのでお知らせいたします。

今年度は、例年通りの現地調査を行うことができました。多くの候補の中から、選考委員会の厳正な審査を経て、HAL農業賞にふさわしい方々を選出いたしました。

表彰名 受賞者 副賞
HAL農業賞
優秀賞
フロンティアチャレンジ賞
福田農場(網走市) 賞金 50万円
HAL農業賞
優秀賞
地域連携企業賞
株式会社満寿屋商店(帯広市) 賞金 50万円
HAL農業賞
優秀賞
優秀経営賞
株式会社森谷ファーム(北見市) 賞金 50万円
(記載は五十音順)

第20回HAL農業賞贈呈式
日時:2025年3月7日(金) 午後2時~
場所:JRタワーホテル日航札幌 36階 たいよう

会場の都合で冒頭の「贈呈式」(予定:午後2時から2時30分ころ)のみを公開いたします。贈呈式の様子は写真データとしてもご提供可能です。ご希望がありましたら担当までご連絡ください。

~本件お問い合わせ先~
担当 HAL財団 企画広報室
山(やま)、上野(うえの)
e-mail info@hal.or.jp
電話 011-233-0131

第20回HAL農業賞受賞者一覧

表彰名 受賞者 授賞理由
HAL農業賞
優秀賞
フロンティアチャレンジ賞
福田農場(網走市) ベテランの域に達している農場主福田稔さんのたゆまぬ、そして果敢なチャレンジに注目し表することにしました。

  • 今まで手掛けていた農産品は、そのほとんどが「加工用の原料」だった福田農場。消費者から「美味しい」と言われたいとの思いから果敢に稲作にチャレンジしている。
  • 畑地での稲作は、技術や制度面でまだ多くの課題を有するが、今後水稲農家の大幅な減少が予想されているなかで安定的な食料米を確保するための新たな技術として注目を集めている。
  • 福田氏のチャレンジは地域の農業者だけではなく、行政機関や漁業関係、商工関係者にも刺激を与え、学校給食や飲食店で網走産おコメの提供を実現させた。
HAL農業賞
優秀賞
地域連携企業賞
株式会社 満寿屋商店(帯広市) 地元農業者と連携し、地域と一体となった経営を実施している点に対し価値あることと認め、それを表することにしました。

  • 北海道内の製粉事業者と連携し小麦の品種改良を強く後押し。2012年からは、本支店6店全店の全商品で十勝産小麦100%のパンを製造。小麦のみならずパンの要である「酵母」も十勝産(とかち野酵母)を使い、調理パン、菓子パンに入れる豆、チーズ・クリームなどの乳製品、牛肉なども十勝の農業者が作ったものを使っている。
  • 原料生産者である農家、農業従事者にとっては、自らが作った小麦などの原料が最終製品となり、それを消費することで「味」「価値」を感じることにつながっている。
HAL農業賞
優秀賞
優秀経営賞
株式会社 森谷ファーム(北見市) 自社の安定的な経営とともに、地域産業をけん引する経営を評価し、優秀経営として表することにしました。

  • 自社の経営だけではなく、環境や地域にも目を向け地域全体として農業を発展させていくことを念頭に経営を実践している。
  • 地域産品である白花豆の生産、販売のみならず、農場に白花豆をメインとするカフェを作る目標があり「留辺蘂の景観」を楽しむ地域一体型の農業を目指している。
  • 所有している森林(山林)でカーボンオフセットを無理なく達成することを検討。地球環境に負荷をかけない農業を次世代に繋いでいく活用資源として森林との共存を視野に経営を行っている。
この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2336/

2025年1月21日号 (通算24-43号)

動画版WEB版HALだより 「たのしむ つながる」 十勝で語る北海道農業を公開します!

2006年第2回HAL農業賞を受賞した「十勝しんむら牧場」の代表取締役である新村浩隆さんと、2013年第9回HAL農業賞を受賞した「前田農産食品」の代表取締役である前田茂雄さんとの対談をまとめました。

お2人は、独創的な経営スタイルで注目を集めています。ともにHAL農業賞を受賞したお2人が今考えていること、そしてこれから先、何を目指しているのか。北海道農業について語ってもらいました。

URL
(全編) https://youtu.be/jR3PIjbQPJ4
(チャプター1) https://youtu.be/2YRUGR3-FjU
(チャプター2) https://youtu.be/SYWtt_dji7E
(チャプター3) https://youtu.be/C0WFXXYgqGs
(チャプター4) https://youtu.be/xzi03EjBb7o

この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2330/

2025年1月14日号 (通算24-42号)

ご飯のプロ お寿司屋さんも注目!

おコメ作りの新しい試みとして、水を入れない、水を極めて少なく、あるいは畑地で従来の「水稲品種」を栽培する取り組みが、ここ数年で注目を集めるようになりました。話題性があるので、一般紙やテレビでも報道されていますが、昨年からは業界紙や道内の農業専門雑誌でも取り上げられるようになりました。

そんななか、今回はおコメ・ごはんのプロとも言える「お寿司屋さん」から乾田直播の現場を見たいという話が舞い込み、実際に共和町のぴかいちファームの山本さんのおコメを見に行ってきました。

今回、私と一緒に現地訪問をしたのは、函館鮨同業会幹事長、北海道鮨商生活衛生同業組合函館支部で理事を務める大門福寿し店主である長谷川さん。

出張で函館に行った折に、最近のおコメ事情をお話したところ「ぜひ見てみたい」とのことで、日程を合わせ共和町のほ場の見学と実際に収穫したおコメの状態を見学。
また、実際の利用者であるお寿司屋さんの観点から「どのようなお米を選ぶのか」など貴重な話を伺うことができました。

今後、観光地函館で畑で作ったおコメがお寿司になる日も近いかもしれません。

企画広報室 上野記

この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2321/

2025年1月7日号 (通算24-41号)

2025年もよろしくお願いいたします

2025年がスタートしました。明けましておめでとうございます。
巳年は成長や変化の年ともいわれています。
大きな羽ばたきが見られるのだと期待しています。
私たち、HAL財団の広報チームは昨年も多くの農業現場を訪問してきましたが、今年も北海道農業とともに活動を進めていきます。引き続きよろしくお願いいたします。

さて、新春第一号のお知らせは、HAL農業賞に関するお知らせです。

第20回HAL農業賞選考中

今回で20回目を迎えるHAL農業賞。その第1回選考委員会が2024年12月13日に開催されました。選考委員会には、HAL財団の内部委員(理事長、常務理事、企画広報室長)のほかに外部有識者の委員(竹林孝さん、三部英二さん)、さらにHAL農業賞アンバサダー(渡辺陽子さん、林匡宏さん)も加わり現地調査の報告、候補者について審議を行っています。今月中に第2回目の選考委員会を開催し、月末には第20回の農業賞受賞者が決まる見込みです。
贈呈式は3月に予定されていますが、どのような方が受賞者になるのか楽しみです。

企画広報室 上野記

この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2314/

2024年12月24日号 (通算24-40号)

冬の鉢花と言えば

クリスマスイブの公開となった今回のWEB版HALだより。
冬の鉢花と言えば、多くの方がイメージするのが「ポインセチア」と「シクラメン」。

北海道花き振興委員会、北海道花き品評会、鉢花の部実行委員会が主催する「2024北国の鉢花まつり 冬の展示即売会」が2024年11月30日と12月1日の両日、札幌市白石区にある札幌花き卸売市場で開催されました。今回で44回目となるこの展示即売会は札幌市や近郊に住む方にとっては、冬の風物詩の一つ。会場はお目当ての鉢花を求める方で賑わっていました。

メインはやはり冬に向けた花。会場にはたくさんのポインセチア、シクラメン、シンビジューム、デンマークカクタスと冬の鉢花が並びます。これだけたくさんの鉢花が並ぶことはなかなかないので、多くのお客さんで会場はいっぱい。

そして、鉢花アレンジメント講習や壁飾り作りの講習、さらには特別オークションもあり「市場のセリ気分」も味わえるのがこの鉢花まつりの楽しみでしょう。

 企画広報室 上野記

この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2303/

2024年12月19日号 (通算24-39号-号外)

満員御礼! 年明け開催 決定!HALクロストークセッション第4弾
これからの農業のビジネスを考えるトークセッション

満員御礼!

トークセッション第4弾は、大好評につき定員に達しました。
また、新たなセッションを企画します。
ご応募、ありがとうございました。


 2023年、2024年の冬1月、そして2024年8月に開催したトークセッション。
今期は、初めての夏のトークセッションを開催しましたが、年明け2025年1月に第4弾を開催します。 キーワードは引き続き「できる・勝てる・儲かる・続く」だ!です。
 農業界は肥料、飼料のかつてないほどの急激な高騰に見舞われ、さらに人件費の上昇、海外産原材料・飼料の輸入不安定という状況にあります。そのうえ、近年は大雨、干ばつ、高温と異常気象の連続。しかし、新たな技術や利用、販路の拡大や企業との連携などダイナミックな動きが出てきています。最新の動向や今後の見通しを知るために、第4弾となる「トークセッション」を今年も1月に開催します。

【開催概要】
日時:2025年1月20日(月)12時受付 13時開演
13:00~18:00 スピーカーによるテーマトーク
19:00~    トークセッション2部        
       
参加費:無料  (懇親会は会費制:5,000円(税込み)を予定)
会場:かでる2.7 4階 大会議室 
住所:札幌市中央区北2条西7丁目 道民活動センタービル 4階

【申し込み方法】
事前メールで受け付け(先着順)
受付期間: 2024年12月19日(木)正午 ~  定員に達し次第終了
申し込み先:HAL財団 専用受付メール umai@hal.or.jp
★お名前、メールアドレス、所属(屋号、会社、団体)、ご住所、電話番号、懇親会の参加・不参加を記載の上、お申込みください。先着順です。
参加者には別途メールをお送りします。
定員 :農業従事者:70人(MAX)
    関連企業・団体:20人(MAX)
    スピーカー、運営:30人
 
スピーカー(話題提供者) (企業、団体名の五十音順)2024年12月10日現在の予定

  • アサヒバイオサイクル(株) サステナビリティ事業本部
    アグリ事業部長  上籔 寛士氏
    アグリ事業部担当部長  北川 隆徳氏
  • 合同会社 共和町ぴかいちファーム 代表社員  山本 耕拓氏
  • コルテバ・アグリサイエンス日本(株) エリアマーケティングマネージャー  大橋 祐輝氏
  • シンジェンタジャパン株式会社
    執行役員 事業開発部長  柳田 優一氏
    事業開発部  早島 悠氏
  • 株式会社NEWGREEN 代表取締役  中條 大希氏
  • バイオシードテクノロジーズ株式会社 代表取締役社長  広瀬 陽一郎氏
  • 株式会社バイオマスレジンホールディングス 取締役副社長  ナカヤチ 美昭氏
  • BASFジャパン株式会社 マーケティング部シニアマネージャー  関根 真樹氏
  • 福田農場(網走市) 農園主  福田 稔氏
  • 株式会社ペントフォーク 代表取締役社長  伊藤 武範氏
  • 株式会社ヤマザキライス 代表取締役社長  山﨑 能央氏

            

実行委員会メンバー

  • 安藤 智孝さん(清水町)
  • 伊藤 勲さん(江別市)
  • 伊藤 儀さん (弟子屈町)
  • 伊藤 敏彦さん(別海町)
  • 今井 貴祐さん(小清水町)
  • 川合 雅記さん(秩父別町)
  • 北川 和也さん(中富良野町)
  • 木村 加奈子さん(別海町)
  • 神馬 悟さん (南幌町)
  • 福田 稔さん(網走市)
  • 山本 耕拓さん(共和町)
  • 島 哲哉さん(富山県高岡市)

進め方

  1. スピーカーからそれぞれの立場で北海道農業とどのような関わり、新たな関わりを持とうとしているのかをお話してもらいます。
  2. 会場参加者から随時質問を受け付け、トークセッションをします。

 

主催 一般財団法人 HAL財団 / クロストークセッション実行委員会
協力:アサヒバイオサイクル株式会社 

この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2294/

2024年12月19日号 (通算24-39号)

年明け開催 決定!HALクロストークセッション第4弾
これからの農業のビジネスを考えるトークセッション

 2023年、2024年の冬1月、そして2024年8月に開催したトークセッション。
今期は、初めての夏のトークセッションを開催しましたが、年明け2025年1月に第4弾を開催します。 キーワードは引き続き「できる・勝てる・儲かる・続く」だ!です。
 農業界は肥料、飼料のかつてないほどの急激な高騰に見舞われ、さらに人件費の上昇、海外産原材料・飼料の輸入不安定という状況にあります。そのうえ、近年は大雨、干ばつ、高温と異常気象の連続。しかし、新たな技術や利用、販路の拡大や企業との連携などダイナミックな動きが出てきています。最新の動向や今後の見通しを知るために、第4弾となる「トークセッション」を今年も1月に開催します。

【開催概要】
日時:2025年1月20日(月)12時受付 13時開演
13:00~18:00 スピーカーによるテーマトーク
19:00~    トークセッション2部        
       
参加費:無料  (懇親会は会費制:5,000円(税込み)を予定)
会場:かでる2.7 4階 大会議室 
住所:札幌市中央区北2条西7丁目 道民活動センタービル 4階

【申し込み方法】
事前メールで受け付け(先着順)
受付期間: 2024年12月19日(木)正午 ~  定員に達し次第終了
申し込み先:HAL財団 専用受付メール umai@hal.or.jp
★お名前、メールアドレス、所属(屋号、会社、団体)、ご住所、電話番号、懇親会の参加・不参加を記載の上、お申込みください。先着順です。
参加者には別途メールをお送りします。
定員 :農業従事者:70人(MAX)
    関連企業・団体:20人(MAX)
    スピーカー、運営:30人
 
スピーカー(話題提供者) (企業、団体名の五十音順)2024年12月10日現在の予定

  • アサヒバイオサイクル(株) サステナビリティ事業本部
    アグリ事業部長  上籔 寛士氏
    アグリ事業部担当部長  北川 隆徳氏
  • 合同会社 共和町ぴかいちファーム 代表社員  山本 耕拓氏
  • コルテバ・アグリサイエンス日本(株) エリアマーケティングマネージャー  大橋 祐輝氏
  • シンジェンタジャパン株式会社
    執行役員 事業開発部長  柳田 優一氏
    事業開発部  早島 悠氏
  • 株式会社NEWGREEN 代表取締役  中條 大希氏
  • バイオシードテクノロジーズ株式会社 代表取締役社長  広瀬 陽一郎氏
  • 株式会社バイオマスレジンホールディングス 取締役副社長  ナカヤチ 美昭氏
  • BASFジャパン株式会社 マーケティング部シニアマネージャー  関根 真樹氏
  • 福田農場(網走市) 農園主  福田 稔氏
  • 株式会社ペントフォーク 代表取締役社長  伊藤 武範氏
  • 株式会社ヤマザキライス 代表取締役社長  山﨑 能央氏

            

実行委員会メンバー

  • 安藤 智孝さん(清水町)
  • 伊藤 勲さん(江別市)
  • 伊藤 儀さん (弟子屈町)
  • 伊藤 敏彦さん(別海町)
  • 今井 貴祐さん(小清水町)
  • 川合 雅記さん(秩父別町)
  • 北川 和也さん(中富良野町)
  • 木村 加奈子さん(別海町)
  • 神馬 悟さん (南幌町)
  • 福田 稔さん(網走市)
  • 山本 耕拓さん(共和町)
  • 島 哲哉さん(富山県高岡市)

進め方

  1. スピーカーからそれぞれの立場で北海道農業とどのような関わり、新たな関わりを持とうとしているのかをお話してもらいます。
  2. 会場参加者から随時質問を受け付け、トークセッションをします。

 

主催 一般財団法人 HAL財団 / クロストークセッション実行委員会
協力:アサヒバイオサイクル株式会社 

この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2289/

2024年12月17日号 (通算24-38号)

新麦フェスタ2024が札幌で開催

「新米」の季節になると消費者も待ち焦がれます。おコメは団体や行政機関、そして小売店も含め「新米」のキャンペーンやフェアを行いますが、今までなかなかなかったのが「麦」。

NPO法人の新麦コレクション(さいたま市)が主催する「麦フェス2024」が11月24日(日)に札幌で開催されました。

このフェスは2017年から東京と福岡で開催されていましたが、北海道で開催されるのは初めてとのこと。午前中は『道産小麦トーク』と銘打ち「道産小麦のここがすごい!」「ライ麦パンで再生!北海道の農と健康」とトークイベントが行われました。そして、午前と午後の2部制で道内外の人気パン店の直売も。

そのほとんどが、普段札幌では購入できないものとあり開始前から行列が出来ていました。北海道は、国内有数の小麦産地。そして国内では数少ないパン用小麦も最近はその作付けも、品種も増えてきました。
次年度以降も開催が期待されますが、きっと大賑わいとなりそうな予感です。

企画広報室 上野記

この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2284/

2024年12月10日号 (通算24-37号)

有志で研鑽会(ミニトークセッション)を開催!

2024年1月、そして8月に開催した「HALクロストークセッション」。多くの方に参加していただき、そしてその後、参加者同士の交流が生まれています。

今回は、その中でできたグループが自主研鑽会を行うというので、HAL財団からも参加しました。
会場は、上富良野町の「土の館」(スガノ農機株式会社)の研修室。最初に「土の館」館長の田村さんから近年の気象の変化がもたらす影響とその対策についてのお話がありました。事前に参加者の所在地をお教えしていたので、その地域ごとの詳細データを用い、説明していただきました。

その後、道内各地から集まった参加者がそれぞれの栽培、生産について報告。また、参加者同士で質疑応答がありました。

今回は、有志での研鑽会でしたが、来年度以降はHAL財団として開催したいと考えています。

企画広報室 上野記

この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2275/

2024年12月3日号 (通算24-36号)

導かれるように陸別町の薬用植物の森へ

*今回の「WEB版HALだより」は、野菜ソムリエとして大活躍の吉川雅子さんにお願いしました。なお、この文章は、筆者及び筆者の所属する団体の見解であり当財団の公式見解ではありません。

レポート:吉川 雅子

私が、日向優(ひなたゆう)さんを知ったのは、陸別町で薬用植物を育てている人がいるという2020年8月のSNSでの情報。まだ、「種を育てる研究所/タネラボ」ができる前です。
気になるとすぐにお会いしたくなるタチでして、アポを取ってすぐに陸別に伺いました。やはり、今後の北海道の6次産業化に新しい視点をもたらしてくれる方でした。
今年7月、改めてお伺いしてお話を聞かせていただきました。

葉を乾燥させてお茶にするキバナオウギ

陸別に夫婦で移住

大阪にある製薬会社で新薬の研究開発という仕事をした日向夫婦。なぜ、日本一寒い町・陸別町に移住してきたのでしょう。

道の駅前。取材時は7月だったので32℃を指していますが…

研究者として充実した日々を送っていましたが、30歳を過ぎた頃から、「研究以外にも、自分たちの経験が役に立つ仕事や活動があるのではないか」と二人で漠然と考えていたそう。札幌出身の日向さんと広島県尾道市出身の奥様の美紀枝(みきえ)さん。ともに北海道大学薬学部の同級生で、移住先候補に“北海道”が入るのは自然なことでした。

2014年秋に開かれた「北海道移住フェア」に参加し、翌年に陸別町の1週間お試し移住を体験。たまたまですが、滞在中に、陸別町が新産業のために薬用植物栽培を新たに始めたことや、それを支援する地域おこし協力隊を募集する予定であることを知ります。
なんと! すごい引き寄せ!
二人の専門分野ではないものの、薬用植物や漢方は薬学部時代に授業で習っており、薬に関わる仕事でもあるので、町に貢献できるのでは? と思い、他地域も検討しましたが、最終的には陸別町を選択。製薬会社を退職後、2017年秋に移住したというわけです。

地域おこし協力隊として町に貢献

2014年に始まった町の薬用植物栽培事業。町の気候や土壌でうまく育つかを確かめるために、カンゾウ(甘草)やキバナオウギ(オウギ(黄耆))、コウライニンジン(高麗人参)など10種類以上の試験栽培に取り組んでいました。これらの薬用植物は医薬品になるものの、ある意味農作物であることに変わりはありません。しかし、日向さんは農業の経験がなかったため、地域おこし協力隊となってから、栽培管理を行ったり、研究機関に出向いたりして知識を身につけていきました。
「苦労はありましたが、例えばカンゾウは漢方薬に使用されるだけでなく、食品の甘味料としても使われます。このように漢方薬以外の用途もあることを知り、学んでいきました」。
ちなみに、美紀枝さんは同じ地域おこし協力隊で「商工観光分野」を担当し、地域活性化に取り組む活動をしていました。
町には「銀河の森天文台」や「りくべつ鉄道」、「道の駅」などの観光施設があり、それに関わる町内商工業者も多くいます。
そこで築いた人脈や町民の方々との信頼関係があったからこそ、現在のタネラボの活躍につながっているんですね。

夏休み中のこの日も「ふるさと銀河線りくべつ鉄道」を見に、多くの観光客が訪れていました

「タネラボ」誕生へ

3年間の地域おこし協力隊の任務を終え、2021年2月22日、「種を育てる研究所・タネラボ」を立ち上げました。

会社の入口に取り付けられた看板

「名前にはふたつの意味を込めています。ひとつは、植物の“種”からスタートし、栽培した収穫物を使ってさまざまな商品を創り出すということ。もうひとつは、陸別町では誰も薬用植物で事業化をしていなかったので、ゼロから新しい産業を創り出すこと。つまり種をも生み出し、そしてその種を育てていくことをイメージしました」と日向さん。

タネラボのビジョンは、「地域から発信する商品やサービスによって、人々が心身ともに健康で美しくなる」。薬学の知識で人々の健康と美容に寄与したいのだそうです。
現在、国産の薬用植物のほとんどは漢方薬原料となり、それ以外の用途に使用されることはあまりありません。薬用植物には、機能性食品や化粧品等の商品に使用されるべきすばらしい薬効があるのですが、まだまだ活かされていないのが現状です。その理由は、“薬用植物を育てる人”と、それを“活用できる人”が両方とも少なすぎることだと日向さんは考えます。薬用植物の栽培には一般の植物とは異なった知識やコツを身につけなければなりません。また、活用できる人は商品を作る際に科学や薬事などの薬学的な知識が不可欠。このように両者とも、薬用植物の特性に合わせた専門的な知識が必要なのです。
これらの知識を持った人たちがうまくマッチングし、お互いに協力して「6次産業化」を目指せば、新しい分野の商品が生み出される可能性が高いのですが、現状は難しい。
そこで、「タネラボ」では、全国的に極めて珍しく、自社で漢方薬向け以外の用途で薬用植物の栽培を行い、薬用植物の6次産業化を行うことにしました。

今後の方向性

現在、畑では日本の薬用植物だけでなく、西洋ハーブ類も加えて約20種類の植物を栽培しています。そのことにより、多様な商品を創ることができ、多様なニーズに応えることができると考えたからです。これまでにほとんど例がない、日本の薬草と西洋ハーブを組み合わせた商品の開発も視野に入れています。

トウキ畑での日向さん。トウキの葉の収穫は春と秋の2回。7月はまだ小さいですが、草取りなどの作業があります
カモミールの収穫をしている美紀枝さん

栽培している植物

漢方薬原料にも使用する薬用植物(キバナオウギ、トウキ(当帰)、ベニバナ(紅花)、ムラサキ(シコン(紫根))、キキョウ(桔梗)など)
西洋ハーブ類(エキナセア、セントジョーンズワート、カモミール、レモンバーム、カレンデュラ、フェンネル、マロウ、ペパーミント、ヤロウ、タイム、マジョラムなど)
上記の植物以外にも、陸別町に豊富に存在する森林資源(トドマツ、アカエゾマツ、カラマツ)も植物原料として利用しています。

タネラボの商品たち

地域おこし協力隊の時から、キバナオウギの葉を使った「オウギ葉茶」やコウライニンジンを使った「高麗人参飴」を商品化。町の給食センターと連携して給食メニュー化も行ってきました。

会社で展示している商品ラインナップ

薬用植物を使用したジンやハーブティー、ハーブコーディアル(シロップ)、エッセンシャルオイルを道の駅や自社のサイトで販売中です。また、コスメなども準備中です。ほかにも、町内外の方々とのコラボ商品も企画中です。

今一番力を注いでいるトウキ

セリ科多年草のトウキ(学名Angelica acutiloba Kitagawa)。日本固有の薬用植物です。根は生薬「当帰(とうき)」として漢方薬の原料に用います。「葉」はセロリのような個性的な香りが特徴で、ヨーロッパではその学名(Angelica)から「天使のハーブ」と呼ばれて、肉料理やスープ、スイーツなどにも利用されています。
トウキは生育が遅く、葉を収穫できるまで2年を要します。手間もかかることから、栽培している農業者が極めて少ないのが現状。そのため、トウキ葉が一般に流通することはありません。近年では、ビタミンやミネラル等の栄養成分が豊富に含まれていることが明らかとなり、その特性を利用した食品や化粧品の開発が徐々に増えてきました。
もちろん、「タネラボ」の畑でも栽培しています。

9月末の収穫可能なトウキ
北見市の「津村製麺所」の直営店「TumuLab( ツムラボ)」では、6月1日から約2カ月間、トウキの葉の天ぷらを使った「やくぜんひやむぎ」が提供されました。また、8月31日には「トウキ葉入りキーマカレー」が学校給食で提供されました

これからも、新しい視点で、人々が心身ともに健やかに過ごせる商品やサービスを発信し続けてください。


プロフィール

吉川雅子(きっかわ まさこ)
マーケティングプランナー
日本野菜ソムリエ協会認定の野菜ソムリエ上級プロや青果物ブランディングマイスター、フードツーリズムマイスターなどの資格を持つ。

札幌市中央区で「アトリエまーくる」主宰し、料理教室や食のワークショップを開催し、原田知世・大泉洋主演の、2012年1月に公開された映画『しあわせのパン』では、フードスタイリストとして映画作りに参加し、北海道の農産物のPRを務める。

著書

『北海道チーズ工房めぐり』(北海道新聞出版センター)
『野菜ソムリエがおすすめする野菜のおいしいお店』(北海道新聞出版センター)
『野菜博士のおくりもの』(レシピと料理担当/中西出版)
『こんな近くに!札幌農業』(札幌農業と歩む会メンバーと共著/共同文化社)

この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2267/