HAL財団

「家業」から「地域企業」へ

WEB版HALだより「テキスト版」

2025年3月11日号 (通算24-50号)

土づくりから始まった放牧酪農から未来を探る

*今回の「WEB版HALだより」は、昨年大変好評だった、農業とは縁のなかった写真家・藤田一咲(いっさく)さんに、北海道農業の現場を見てもらい話を聞く企画の第2弾の3回目です。今回もHAL財団・上野貴之が聞き手となる対談形式でお届けします。私は敬愛の気持ちから、今回も一咲さんと呼ばせていただきます。

(HAL財団 企画広報室 上野貴之)

生乳の生産量日本一は?

●上野:前回も聞きましたが一咲さんは毎朝パン食でしたね。牛乳も飲むでしょう?
★一咲:もちろん! そのままでも、コーヒーや紅茶に入れても。ぼくの朝食に牛乳は欠かせない。
●上野:ここでまた答えがわかりやすい問題です。生乳(せいにゅう)生産量日本一はどこでしょう?
★一咲:東京? 
●上野:それはもしかしたら消費量かもしれませんね。
★一咲:生乳の生産量日本一は北海道だということくらいぼくでも知っています。北海道といえばまず、どこまでも広がる大草原で、放牧された牛たちがのんびりと草を食んでいる風景が目に浮かびますから。

●上野:ははは。そうなんですか。北海道の生乳生産量は2021(令和3)年度には400万トンを超え、全国シェアではダントツの第1位です。2023(令和5)年度は391万トン余りと少し落ち込みしましたが、2024(令和6)年度は427万トンと増産の見込みです。
★一咲:2023年度に生産量が減少した理由は?
●上野:夏の猛暑の影響、需要の低迷による生産者団体による生産抑制などがあります。
★一咲:気候変動は植物(作物)だけでなく、動物(家畜)にも大きな影響を与えるんですね。
●上野:そうなんです。乳用牛の主力はホルスタインという品種で、飼養環境としては北海道の涼しい気候が向いていますが、暑さに弱く夏バテすると乳の出が悪くなったり品質が落ちるのです。
★一咲:なるほど、北海道で酪農が盛んな理由は天候にもあったのか。ただ広い牧草地があるだけではなかったんですね。
●上野:そうです。北海道の、牛が過ごしやすい涼しい環境で、牛が牧草をのびのび食べることができるので、牛のストレスを軽減でき、安定した乳量と品質の高い生乳が生産できるのです。
 そうは言っても、北海道の乳用の牛の放牧を主体に行っているのは全出荷戸数の5〜10%程度で、牛は主に牛舎内に固定・繋ぎ留めて飼養する繋ぎ飼いが全出荷戸数の約60%。これは40~50頭規模あたりまでの牛の飼養に適する方式といわれ日本の乳牛舎の主流になっていますが、他には牛1頭ずつに仕切られたストール(休息場所)を備え、牛が自由に歩き回れる牛舎の形態のフリーストール(放し飼い式牛舎とも)が約30%を占めています。それぞれにメリット、デメリットがありますが、最近は餌やりや搾乳の労力が軽減できるフリーストールが増えてきています。
★一咲:牛=放牧のイメージだったのですが、そうでもないんですね。
●上野:30年くらい前までは放牧酪農も多く見られたようですが、生産性が重視される近年は牛舎での飼養が一般的です。さあ、今日は上士幌町の〈十勝しんむら牧場〉に乳用牛の放牧酪農を取材に行きますよ。

★一咲:十勝は酪農が盛んなのですか?
●上野:北海道では道東、道北で酪農が盛んで、釧路や根室方面の別海町や中標津町、標茶町などで牛が多く飼養されていますが、近年では十勝でも多くなっています。
★一咲:十勝には釧路や根室方面よりも何かメリットがあるとか?
●上野:釧路や根室方面は、根釧台地(こんせんだいち)と呼ばれる火山灰の広い大地。火山灰は保水力に乏しく畑作には適していませんが、一年を通して涼しいので、牛の飼養にも、とれた牛乳などを扱うのにも向いています。一方、十勝は畑作も盛んな土地です。牛の餌や寝所用の牧草、飼料のデントコーンを栽培できるなどの強みがあります。
★一咲:畑作ができる=土がいいんですね。
●上野:その土づくりに力を入れているのが十勝しんむら牧場です。そして一咲さんが「北海道の農家さんはもっと貪欲になってもいい」とよく言うように、経営の多角化、新しいスタイルの酪農経営にも力を入れていて、国内外からも大変注目を集めているユニークな牧場です。

上士幌町にある十勝しんむら牧場で放牧されている牛たち。美味しそうに牧草を食べている。土は黒々としていて手に取ると優しい匂いがする。牧草は主にクローバー、オーチャードグラス、ペレニアルライグラスの3種類。
十勝しんむら牧場の放牧地は、自然の起伏を生かしているのでしょう。この起伏が牛たちの運動=健康な体力づくりにも貢献しているに違いありません。
ここの牛たちは人を警戒せず、穏やかにのびのび暮らしているように見えます。食べ物も美味しく、ストレスも少ない。それも美味しい牛乳づくりに欠かせない要因の一つになっていそうです。

牛が喜ぶ牧草地づくり

●上野:十勝しんむら牧場では放牧酪農を行なっています。
★一咲:先ほどの話で放牧は生乳牛飼養戸数の全体の5〜10%と少ないようでしたが?
●上野:それぞれの酪農家さんの方針や考え方、土地の面積、牛の頭数なども関係してくるのでしょう。ここの放牧地の面積は約30ヘクタール。一咲さんに分かりやすく言うと、東京ドーム6個分以上あります。そして牛の頭数は約200頭。放牧酪農のメリットは牛たちが自由に運動しながら、自分の好みや食べたい量に合わせて牧草を食べることができるので、牛の生理や習慣に適しているし、牛自身で体調のコントロールや健康状態の管理をしやすくできること。
★一咲:手間をかけずにそれができるということですね。牛が自由に動き回れるから足も丈夫に、またストレスも少なくなり、心肺機能や内臓の発達にも良さそうで、牛が病気になりにくい環境でのびのびと暮らせるんですね。さらに美味しい牧草を食べていれば、自ずと乳の量や品質に大きな影響が出てきますね。寿命もぐんと延びそうです。
●上野:そうです。牛本来の自然な生態、生育環境に近づけることが、健康的で美味しい牛乳づくりになると、現在の4代目牧場主、新村浩隆さんは考えたのです。そのためにはまず土づくりからだと。
★一咲:健康な土に育つ健康な草を食べると、健康な牛に育ち、美味しい牛乳ができる。やはり今回(2024年)の取材のテーマは「土づくり」ですね。先日のそばも、昨日取材したスペルト小麦も土づくりからでした。農業・酪農の再生・未来は、土づくりからが一つのポイントになりそうです。
●上野:十勝しんむら牧場の土地が、生産性などを重視して長年化学肥料を使ってきて弱った土地だったのか、元々あまり状態の良くない土壌だったのかわかりませんが、本来の自然の土の状態にするために1995年からこの課題に取り組んでいるので、もう30年になりますね。この先、100年、200年先を見据えての土壌改善計画のようです。
★一咲:一口に土づくりと言っても、どんなことをするのでしょうか?
●上野:土の中の窒素、マグネシウム、カルシウムなどのバランスが整うように、土壌に肥料を与えます。ここの草地の広さは約80ヘクタール。実に東京ドーム約17個分の広さの土づくり! 土壌の位置の状態などによって、肥料の種類、量、時期、回数などを調整します。
★一咲:土の環境改善はかなりの年月がかかりますね。この発想は当時としてはかなり先進的だったでしょう。
●上野:昔は土と草はそれぞれ別なものとして考えられていましたから。今ではここの土はミミズもいるほど、いい土になっています。
★一咲:ミミズですか? 海岸の浄化、環境保全に二枚貝のカキやアサリ、底生生物のゴカイ、海草や海藻などの植物、プランクトンやバクテリアなどの微生物などが関わっているのと似ていますね。
●上野:ここもミミズだけではなく、他にも微生物などの生き物が土壌改善に関わっていますが、ミミズの働きは本当にすごいですよ。牛の糞も含め有機物の分解を促進して堆肥のようにして土と混ぜるなどして、物理的、化学的に土壌の性質を改善します。ミミズの体からはさまざまな酵素も分泌されるし、腸内には窒素を固定する細菌が生活していますしね。
 ミミズの活動によって、土壌がそぼろ状の大小の塊になることで、通気性や水分保持力が高まり、降雨時の養分の流失を防ぐ、植物の生育に関わる微生物の活動にもいい環境になるなどの効果もあります。ミミズのいる土は作物の病気や害虫が発生しにくい、栄養価の高い牧草が育つことができる土になるのです。ミミズは健康な土のバロメーターなんです。
★一咲:ミミズにそんなチカラがあったとは。十勝しんむら牧場では牛が喜ぶ牧草地を作っているんですね。そういう意味では、土づくり=自然力の回復・再生みたいな意味があるんですね。自然本来の土・草・牛が美味しい牛乳になる。単に牛乳を多く量産することだけではなく、より高い品質の牛乳を消費者に届けることを考えるとそうなるわけですね。地球環境にも優しく、消費者にも嬉しい。でもコストも高くなりそうですが。
●上野:放牧酪農は酪農家自身が飼育するより低コスト、糞の処理などの省力化、輸入に依存している飼料や化石燃料の高騰などに左右されない経済的な面からも最近注目されています。

日本で売られているほとんどの牛乳は、120~150度で1~3秒加熱された超高温瞬間殺菌されたもの。
十勝しんむら牧場の牛乳は、手間とコストはかかるものの、牛乳本来の風味を損なわない65.3度で30分の低温長時間殺菌されたもの。夏だからか、気のせいか青草のような、フレッシュな香りでさらりとしてあと味さっぱりで美味しい。ちなみに欧米の市販牛乳の主流は低温殺菌。
プラ容器入りの「放牧牛乳」(800ml)は、十勝しんむら牧場内のカフェや通信販売で購入可能。こちらも低温殺菌されたもの。
脂肪球を破壊するホモジナイズ処理をしていないので、搾りたてに近いフレッシュな牛乳の甘みが生きています。

ブタやヤギも放牧されている牧場

●上野:一咲さん、ここではブタも放牧されているんです。
★一咲:ブタもですか?
●上野:はい。東京ドーム約2個半の11ヘクタールに50頭ほどのブタが放し飼いされています。
★一咲:ブタというと色が白くぶくぶく太ったイメージがありますが、ここのブタはそれよりもずっと逞しく濃い色の野生的なブタというか、イノシシのように見えますね。
●上野:そうでしょう! 脂肪太りせず筋肉がよく締まっている、皮膚の色つやが良い、骨格がしっかりしている。足も丈夫でしっかりと歩いていますよね。ここのブタが健康だという証です。
★一咲:自然に近い環境で育ったブタは美味しいのでしょうか?
●上野:放牧のブタは肉がたくさん取れるわけではないようですが、野生に近くすることで健康で強く育ち、2年以上飼養すると脂肪分も適度になって、肉に旨みが加わりスッキリした味わいで美味しいそうです。
★一咲:食べると美味しさと共に、元気なエネルギーがもらえそうですね。
●上野:ここでは乗馬用に飼っている馬とブタが、仲良く一緒に餌を食べている珍しい光景も見られます。
★一咲:ブタは牧草ではなく餌ですか? 
●上野:ブタは草からたんぱく質を合成できないですから、ミネラルやビタミンを与えるんです。
★一咲:ブタの胃はヒトの胃に近いと聞いたことがあります。
●上野:ここにはブタや馬の他にヤギも6頭います。
★一咲:ヤギも生乳用ですか?
●上野:ヤギは草刈り用です。いわゆるヤギ除草。機械を使った除草ではないので、化石燃料の必要がなく、CO2の排出量の削減につながります。騒音もないですし、除草しにくい斜面でも大丈夫です。糞は団子状で臭いも気になりません。
★一咲:ヤギ除草も自然に余計な人的負荷をかけない牧場作りに役立っていそうですね。人も草刈りの手間がかからず楽な上に、ヤギの糞も土づくりに生かされていそうです。

冬も100%放し飼いされているというブタたち。出産も森の中でさせるのだとか。その姿はイノシシのようにも見えます。
子ブタだろうか、カメラに興味津々に元気に寄って来ました。眼も生き生きして活気があり、毛もつやが良く、健康的に育っているのが一目でわかります。子ブタもまるでイノシシのように見えて可愛い。
馬とブタが一緒に餌を食べている、なかなか目にすることができないホノボノとした光景。

牧場の敷地内で飼われている下草刈りのためのヤギ6頭のうちの2頭。草刈り機を使わないので騒音もなく、CO2排出削減にも貢献。刈り取った雑草の処分もなく環境に優しい除草ができるのだそう。

酪農の価値を生かすコンテンツ作り

●上野:生乳は各地域の指定団体に様々な農家の牛乳が集められ、ミックスされて出荷されます。しかしそれではせっかく品質にこだわった牛乳を作っても、それを消費者に届けることはできません。そこで、十勝しんむら牧場では自社で生乳の加工品を作り販売することを始めました。「ミルクジャム」の誕生です。
★一咲:6次産業化ですね。ミルクジャムは最近では耳にしますが、以前は聞いたことがありませんでした。
●上野:十勝しんむら牧場のミルクジャムの発売は2000年。当時は生乳の加工品といえば、バターやチーズ、クリーム、ヨーグルトが一般的で、ミルクジャムは競合もなく、ネット販売を中心に大ヒット商品になりました。他にも生乳から作られる商品としては日本初のクロテッドクリームや、「放牧牛乳」とバター、北海道産小麦、十勝オークリーフ牧場のハーブ卵を使用して焼き上げたスコーンも商品化されています。牧場に併設した牧場のショールーム「カフェ・クリームテラス」もオープンしました。
★一咲:“牧場のショールーム”という発想がいいですね。自然の四季を感じながら、牧場の牛や牧草地のありのままを見て、牛乳など生乳の多彩な加工品を味わうことができるんですね。
●上野:生産者には消費者の反応を直に見たり、要望などを聞いたりすることができます。消費者には牧場の様子や生産者の考え、加工品の味わい方を知る嬉しい機会を得ることにも繋がります。
★一咲:消費者が放牧酪農をより身近に感じ、理解することができますね。
●上野:酪農の価値を高め、消費者と共有する。その素晴らしい経営姿勢に、HAL財団では2006年に「第2回HAL農業賞 経営部門優秀賞」を贈呈しました。今回は取材しませんが、その後も、十勝しんむら牧場は消費者と繋がる酪農を目指して、牧草地のど真ん中に牛に囲まれて入れるサウナ「ミルクサウナ」や、牧場を一望できる「パノラマテラス」、さらには牛の目線で泊まれるをコンセプトにした宿泊施設もオープン。牧場で生産したブタ肉のバーベキューも楽しめるようになっています。
★一咲:酪農を持続的に発展させるための収益性向上の一環ですね。十勝しんむら牧場は、今までよく知らなかった酪農の世界と繋がる面白そうなことをやっていて楽しそうですね。酪農は楽農なんちゃって。
●上野:ははは。実はそんなメッセージを発信しているのかも知れませんよ。放牧酪農やグラス一杯の牛乳を通して、地域や地球の環境についても考えさせてくれます。
 土づくりに始まり、生産から生乳製品の加工・販売・ブランディング、直営カフェやショップ、サウナ、宿泊施設の運営など、どれも今ではビジネスモデルになっていますが、その先駆け的存在が十勝しんむら牧場です。
★一咲:このような酪農の価値を生かすユニークなコンテンツは、従来の酪農のあり方だけではなく、働く環境や地域を変えて行くチカラを秘めていそうで今後の展開がとても楽しみです。

周囲を緑に囲まれた牧場内で、ひときわ目を引く赤いカップから牛が顔を出している看板は、牧場に併設されたカフェ・クリームテラスの看板。こんなオシャレなセンスも、従来の酪農のイメージとはかけ離れていて個性的。
カフェ・クリームテラスのユーモラスな壁面。大きな看板と壁から半身が出ている牛の立体像。牛の立体像は乳搾りが擬似体験できるように造られているのも楽しい。さあ、この写真には何頭の牛の姿が見つかるでしょう?
正解は5頭(ブタも1頭います)。

カフェ・クリームテラスでいただいた自家製のスコーンにクロテッドクリーム、ミルクジャムのティーセット。スコーンの他にワッフルなどもあります。カフェ・クリームテラスは、十勝しんむら牧場内の他、帯広市にエスタ帯広駅店、札幌市にココノ ススキノ店を展開しています。

十勝しんむら牧場の加工品。代表的なミルクジャム(写真上・左)は、原料は「放牧牛乳」と北海道産のグラニュー糖のみ。なめらかにとろけるミルクの豊かな味わいをパンやお菓子、フルーツ、紅茶などに。プレーンの他、バニラや抹茶風味など全10種のバリエーションがあります。クロテッドクリーム(上・中)は、生乳100%の自然な甘さと香りで、さっぱりした味わいが特徴。焼きたてのパンやスコーンにたっぷりと塗って味わいたい。写真上・右は「放牧牛乳」とバター、北海道産小麦、十勝オークリーフ牧場のハーブ卵を使用し丁寧に焼き上げたスコーン。クロテッドクリームやミルクジャムと一緒に。これらはカフェ・クリームテラスや直営オンラインストアなどで購入できます。
十勝しんむら牧場を案内してくれた牧場スタッフの杉山美賀子さんとHAL財団アンバサダーの渡辺陽子アナウンサー。

日本一大きなパン屋の秘密

●上野:一咲さん、お疲れさまでした。これから東京に戻られるわけですが、取材予定外ではありますが、その前にパン屋さんに寄ります。
★一咲:そこはもしかしたら、ベーカリーとしては日本一敷地面積が大きなパン屋さんですか?
●上野:ははは、よく分かりましたね。ここの敷地面積は11,000平方メートル、東京ドームの約1/5の広さです。
★一咲:上野さんが日本一好きなパン屋さんでしょう?! 一昨日も来ましたよ! それに今朝のホテルの朝食でも、ここのパンを食べていましたよね?! 
●上野:ははは、ここのパン大好きです。もうランチの時間ですから、一咲さんもお腹が空いているでしょう?
はい、満寿屋商店さんのフラッグシップ店「麦音(むぎおと)」に着きましたよ。
一咲さんもすでに知っているように、麦音さんのパンは十勝産小麦粉を100%使用しています。また他の食材も十勝産にこだわっています。いわゆる「地産地消」をテーマにパンを作っているのが麦音です。
★一咲:それは日本一大きなパン屋さんの秘密でしょ? 地産地消のパン屋は、どこでもできそうだけど、やはり十勝という土地でなければ難しそうです。
●上野:これは秘密でも何でもありませんが、詳しいことは今度ちゃんと取材しましょう!
おや、渡辺さんがランチのパンを買ってきてくれました。
★一咲:麦音の店内には、購入したパンをそのまま食べられるイートイン・スペースもありますが、広い庭で敷地内にある小麦畑を渡る風の音、水車が回って小麦が挽かれる音、時折り聞こえる鳥のさえずりを聞いたり、木々の間を駆け回るリスを眺めながら食べるのが気持ちいいです。
●上野:味の方はどうですか?
★一咲:どこか優しい味で美味しいですね。小麦は小麦でも十勝産ということもあってか、東京で食べるパンとは食感も味も少し違うようです。これぞ“十勝パン”っていう感じかもです。
●上野:ははは。食べ過ぎてお腹を壊さないでくださいよ。

麦音でいただいたランチのパン。店長の天方慎治さんがオシャレなカゴに入れてくれました。パンは写真・左から、香ばしいローストしたクルミがたっぷりのその名も「たっぷりクルミパン」、写真・中はきたほなみなど3種の十勝産小麦がブレンドされ、ふんわりサクサクな食感に仕上げられた「クロワッサン」、香りと小麦の味わいが豊かな「とかちミニフランスパン」(写真・右)は、十勝産小麦キタノカオリを主に他の十勝産小麦を独自に配合したもの。
こちらもランチで追加にいただいたパン。写真・右は十勝産の希少な小麦「キタノカオリ」と良質な十勝の軟水で作られた「オドゥブレ十勝」。手前のパンは十勝産黒豆をたっぷり使った「黒豆塩バターパン」。すべて美味しくいただきました。

(写真・上)出来立てのパンを愛おしそうに見る麦音店長の天方慎治さん。
(写真・下)天方さんとHAL財団アンバサダーでフリーアナウンサーの渡辺陽子さん。

藤田一咲(ふじた いっさく)
年齢非公開。ローマ字表記では「ISSAQUE FOUJITA」。
風景写真、人物写真、動物写真、コマーシャルフォトとオールマイティな写真家。
脱力写真家との肩書もあるが、力を抜いて写真を楽しもうという趣旨。
日本国内は当然、ロンドン、パリなどの世界の都市から、ボルネオの熱帯雨林、
アフリカの砂漠まで撮影に赴く行動派写真家。
公式サイト:https//issaque.com
写真:ISSAQUE FOUJITA

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