HAL財団

「家業」から「地域企業」へ

WEB版HALだより「テキスト版」

2024年6月11日号 (通算24-11号)

生乳生産日本一の町「別海町」にある日本最大級のバイオガスプラント

*今回の「WEB版HALだより」は、別海バイオガス発電株式会社の小菅加奈子さんにお願いしました。
それでは、この先はレポートになります。
なお、この文章は、筆者及び筆者の所属する団体の見解であり当財団の公式見解ではありません。

生乳生産日本一の町「別海町」にある
日本最大級のバイオガスプラント

レポート 小菅 加奈子

北海道の東側にある「別海町」は人口約1万4千人、牛の飼養頭数は約11万頭の日本一酪農業が盛んな町です。約6万ヘクタールに広がる耕地で育まれた乳製品は格別。人より牛が多い街などと呼ばれる「別海町」ですが、魅力は酪農だけではありません。野付湾で獲れる‟ジャンボホタテ”や“北海シマエビ”“ホッキ”などの豊富な魚介類、さらに野付半島や風連湖など自然豊かな場所が多くあり、オジロワシやシマエナガなど希少な野鳥を観察することができる「海と大地に夢があふれる町」なのです。

そんな酪農・漁業が共存する「別海町」では、環境に対する取り組みの一つとして「バイオマス産業都市構想」を2013年に策定し、国からバイオマス産業都市の一次選定地域として認定されました。さらに、良好な水環境を保全し、農業と漁業が将来にわたり共存しうる社会を構築することを目的とした「別海町畜産環境に関する条例」を他の自治体に先駆け制定(2014年(平成26年)4月1日施行)。2015年には、日本最大級のバイオガスプラントである別海バイオガス発電株式会社が事業を開始しました。
分離された液体は、肥料になり牧草地に散布されます
酪農業だけではなく、漁業や森林等の自然を守ることもミッションの一つとしている別海バイオガス発電(株)は、契約農家70件(2024年4月現在)の家畜ふん尿を適正に処理し、それを電気に変えています。別海バイオガス発電(株)で作られる1日分の電力量は、約24,000kWh。実に一般家庭約2,400軒分の電力量に相当します。

別海バイオガス発電(株)に搬入された家畜ふん尿は、55℃の高温発酵槽内でメタン発酵させバイオガスを生成。そのガスを燃料にして、発電機を動かし電気を作り出すのです。発酵が終わった液は固体と液体に分離させて、再生敷料(固体)と液体肥料(液体)に分けられます。再生敷料は牛の寝床に敷いて、ふん尿と混ざったらまた別海バイオガス発電(株)に搬入されます。

分離された固体は再生敷料になります

液体肥料である消化液は広大な別海町の牧草地に、年に3回程度散布され、消化液で育った牧草を食べた牛のふん尿が別海バイオガス発電(株)に搬入されるという資源循環型社会が成り立っています。

次号では別海バイオガス発電(株)と消化液の特徴について記します。

次号では別海バイオガス発電(株)と消化液の特徴について記します。


プロフィール

小菅 加奈子(こすげ かなこ)
別海バイオガス発電株式会社 営業部長
URL: https://www.jfe-et.co.jp/bbp/

〒086-0216
北海道野付郡別海町別海2番地
TEL:0153-79-5552 FAX:0153-79-5553
お問い合わせMail:kosuge-kanako@jet.jfe-eng.co.jp
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