HAL財団

「家業」から「地域企業」へ

WEB版HALだより「テキスト版」

2025年9月2日号 (通算25-10号)

ブロッコリーはお好きですか?(2)

*今回の「WEB版HALだより」は、野菜ソムリエとして大活躍の吉川雅子さんにお願いしました。
なお、この文章は、筆者及び筆者の所属する団体の見解であり当財団の公式見解ではありません。

*2週にわたって掲載しています。

レポート:吉川 雅子

 「ブロッコリー」が、国民生活に欠かせない野菜「指定野菜」に追加されるというニュースが2024年に報道されました。
 指定野菜になると何が変わる? 変わらないの?
 そもそも指定野菜って?
 今回は、ブロッコリーから見た北海道農業の変化を少し紐解こうと思います。2回連載の第2回目となります。

減反政策で始まった道内のブロッコリー栽培

十勝のブロッコリーを牽引する木野農協

 ブロッコリーは冷涼な気候を好み、現在の主産地は北海道、愛知、埼玉など。北海道産は春播き夏採りのもので、道内はもちろん全国へと出回ります。
 生産統計を見ると、1978年に「野菜生産部会協議会」が組織された伊達市農協において、先行してカリフラワーを多く栽培。ブロッコリーの栽培も需要拡大に対応して増加したため、「カリフラワー、ブロッコリー部会」が発足されました。ほぼ同時期に、音更町の木野農協管内で生産がスタート。その後、道央の水田転作の拡大で、秩父別町や長沼町、江別市等で産地化が進みました。
 木野農協では、1982年からの2年間、真空予冷試験機で道外移出に取り組み、1984年から真空予冷施設や温泉熱を利用した特産物センターを増やし、野菜の産地化を支えてきました。1986年からは、木野農協と音更町農協の両方の生産物を木野農協の施設に集め、共同出荷を開始。翌年には府県移出量トップの産地となりました。
 年々増加してきたブロッコリー栽培に対応するために、1992年には、ブロッコリー選果施設と野菜予冷庫を新設し、府県移出体制を整備しました。1994年には製氷施設を作り、発泡スチロール箱にフレークアイスと花蕾を詰めて出荷するように。2007年には製氷機を増設しました。
 農家が収穫したブロッコリーをミニコンテナで予冷庫に搬入、十分に冷やした後、共選場において目視と臭いで規格や腐敗を選別し、箱詰め、氷詰めで出荷する体系となりました。

規格の統一はこれで測ります

 1995年以降ブロッコリーは消費拡大により価格が上昇し、業務需要も多くなりましたが、一時期、アメリカからの輸入ブロッコリーが拡大して価格が低迷。各産地で拡大傾向が鈍り、音更町でも栽培面積は減少しました。
 しかし、その後、国産の品質が評価され、国産志向が高まったことから道内での生産は持ち直し、音更町でも栽培が回復、現在約120haの一大産地として安定。府県の夏場のブロッコリーを支えています。

スタッフが葉を切り揃えます
発泡スチロールにブロッコリーを詰め、氷を入れて運ばれます

札幌圏の健康を支えるながぬま農協

 長沼町は千歳川流域の平野で、石狩平野につながる水田地帯。しかし、1965年代の減反政策で、長沼町の基幹品目の水稲経営は不安定となり、水稲以外の栽培品目が検討されました。そこで、1988年に町内1区蔬菜振興会が、水稲に代わる野菜としてブロッコリーを試作しました。
 1994年に長沼農協と北長沼農協が合併、「長沼町園芸組合連合会ブロッコリーグループ」が組織されました。2007年に名称を「ブロッコリー部会」に変更し、販売は全量加工業者に委託、1玉60円で契約販売を始めました。しかし、加工業者の処理量を大幅に超過する出荷量となり、他の業者にも出荷したため、安定して60円の支払いを受けられない状況となりました。そこで、製氷機をリースし、従来の加工業者だけでなく、市場出荷も加えて有利販売を目指しました。また共選事業も導入したことで、均一な品質が評価され、産地評価が高まりました。その後も、ブロッコリー栽培の増加はめざましく、2010年に苗の全自動移植機の助成事業が開始されるなど、栽培個数、面積ともに伸び続けています。

 また、選果場も見学させていただきました。まず生産者から、店頭で並べる用に葉を落としたブロッコリーがコンテナに入れられて運ばれてきます。それを一晩冷蔵庫で冷やし、翌日選果場に運びます。

冷やされたブロッコリーはスタッフの手によって発泡スチロールに詰め替えられます

 スタッフによって発泡スチロールに入れ替えられ、ベルトコンベアーに乗って、製氷機の前でフレークアイスが入れられます。

製氷機で作られたフレークアイスが積められます
蓋を取り付けるのも、トラックのパレットに載せるのも自動化され、省力化されています

 そのまま流れていき、自動で発泡スチロールの蓋をされて、トラックに積みやすいように並べられます。
 「現在、約250haのブロッコリーの畑がありますが、この製氷機は300haくらいまでは対応できます」と青果部の山本大介部長。
 長沼のブロッコリーの出荷は6月上旬から11月下旬。札幌圏や府県への出荷だけでなく、繫忙期の7月の1カ月間は台湾にも輸出されています。

広がるブロッコリー畑

 人気のあるブロッコリーですが、懸念されているのが生産者の高齢化と気候の変化です。
 特に気温の大幅な上昇や水不足は年々目を見張るものがあります。その対策として行われているのが「地下かんがい」です。用水路と暗渠排水上流部を接続し、かんがい用水を注水することによって、暗渠管を通じて地下水位を上昇させ、作土層内に水分を供給する方式です。また、機械による収穫など、人手不足を解消する工夫も急がれています。
 2024年度の「ものづくり補助金」において、「指定野菜ブロッコリーの生産拡大のための省力化設備導入」で採択され、圃場ごとにかんがい装置を導入し、効果を上げている生産者もいます。
 健康野菜のブロッコリー。多くの方がたくさん食べて健康になってくれますように!


プロフィール
吉川雅子(きっかわ まさこ)
マーケティングプランナー
日本野菜ソムリエ協会認定の野菜ソムリエ上級プロや青果物ブランディングマイスター、フードツーリズムマイスターなどの資格を持つ。

札幌市中央区で「アトリエまーくる」主宰し、料理教室や食のワークショップを開催し、原田知世・大泉洋主演の、2012年1月に公開された映画『しあわせのパン』では、フードスタイリストとして映画作りに参加し、北海道の農産物のPRを務める。

著書
『北海道チーズ工房めぐり』(北海道新聞出版センター)
『野菜ソムリエがおすすめする野菜のおいしいお店』(北海道新聞出版センター)
『野菜博士のおくりもの』(レシピと料理担当/中西出版)
『こんな近くに!札幌農業』(札幌農業と歩む会メンバーと共著/共同文化社)

この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2926/

2025年8月26日号 (通算25-09号)

ブロッコリーはお好きですか?(1)

*今回の「WEB版HALだより」は、野菜ソムリエとして大活躍の吉川雅子さんにお願いしました。
なお、この文章は、筆者及び筆者の所属する団体の見解であり当財団の公式見解ではありません。

*2週にわたって掲載いたします。

レポート:吉川 雅子

「ブロッコリー」が、国民生活に欠かせない野菜「指定野菜」に追加されるというニュースが2024年に報道されました。
指定野菜になると何が変わる? 変わらないの?
そもそも指定野菜って?

今回は、ブロッコリーから見た北海道農業の変化を少し紐解こうと思います。2回連載の第1回目となります。

ブロッコリー

ブロッコリーが50年ぶりに指定野菜に認定

全国的に人気のブロッコリー

 緑色のモコモコとしたブロッコリー。いつの間にか、スーパーでもそれなりの売り場面積が確保されるようになった野菜です。このブロッコリーが約50年ぶりに「指定野菜」に追加されることが、2024年に発表されました。
 「指定野菜」とは、1966年に施行された「野菜生産出荷安定法」において、「消費量が相対的に多くまたは多くなることが見込まれる野菜であって、その種類、通常の出荷時期等により政令で定める種別に属するもの」と定義されています。「指定野菜」には、作付面積が最も多いジャガイモ、次いでキャベツ、ダイコンなど14品目あります。なお、ブロッコリーは既に指定野菜であるニンジンの作付面積を上回っています。

 また、作付面積はもちろんですが、ブロッコリーの集荷量および消費量が特に増えており、農林水産省によると、2021年におけるブロッコリーの出荷量は15万5,500トンであり、2001年の7万5,500トンと比較するとおよそ2倍になっています。

これらの背景から、2026年度からブロッコリーが「指定野菜」の仲間に入るというわけです。

ブロッコリー畑

指定野菜制度の導入の背景

 「指定野菜」の導入には、1960年代の日本の時代的背景が大きく影響しています。

 当時は高度経済成長期ということもあり、急速な都市化と工業化が進展していました。農業従事者が減少していく一方、食生活の変化により野菜の需要が高まってきたのです。その結果、野菜の市場価格が乱高下し、社会問題になったことがありました。

 野菜は病害虫や自然災害、天候不順など自然環境に大きく左右され、生産量が変動しやすく、それに伴って販売価格も変動します。そのため、価格の安定化対策や生産の調整、流通の支援を行い、市場の安定化を図る制度が必要となりました。それが「指定野菜制度」なのです。

 指定野菜の生産者は、国の需給ガイドラインに基づいた供給計画を立てて野菜の生産を行います。自然環境だけでなく、輸入過多による国内市場飽和などで、指定野菜の価格が著しく下落した際には、「指定野菜価格安定対策事業」によって「生産者補給金」の交付対象となります。これにより生産者の生活を支え、農業経営の安定を図ります。このように、指定野菜制度は野菜の需給バランスを整えることで販売価格の安定化を促進する狙いがあります。ただし、補助金の交付は「指定産地」で生産・出荷された指定野菜に限られています。

 指定野菜になることがきっかけで、経営の軸であるブロッコリーの信頼が高まり、事業としても拡張性があると判断できたため栽培面積を倍増させた生産者もいます。また、メディア等で指定野菜としてブロッコリーが取り上げられることで、作物自体の注目度が高まり、それが人材採用にも良い影響を与えているそうです。

西洋野菜のブロッコリー

食べている部分は花蕾

 かたい話はさておき、ブロッコリーに話を戻しましょう。

 ブロッコリーは、原産地を地中海東部とするケールが起源の野菜です。とても長い時間をかけて、ケールの葉が結球したものがキャベツ、根が発達して食用となったものがコールラビ、花の部分(花蕾)が食用になったものがブロッコリーとカリフラワーに分化していったといわれています。

 現在の形状のブロッコリーがいつ頃から食べられていたかは不明ですが、地中海沿岸では古くからケール起源の野菜を食べていたようです。その中でブロッコリーは、キプロスやクレタ島あたりからイタリア半島に伝播し、栽培が盛んになったのが15~16世紀頃。その後、イタリアからヨーロッパに普及したのは、17世紀頃といわれています。

今どきのカリフラワーは白だけではないのですよ!
畑の中でのブロッコリー。葉っぱの奥に花蕾があります

日本でのブロッコリーの人気

 日本には明治時代初めにカリフラワーとともに西洋野菜として導入されましたが、一般には普及しませんでした。第二次世界大戦後に、食の洋風化に伴って栽培が本格的に開始。初めは、"ハナヤサイ"という和名で消費が広がったカリフラワーの方が人気で、生産量、消費量ともに多かったのですが、国民の栄養意識が高まり、次第に緑黄色野菜であるブロッコリーの栄養価が評価され、その消費量が伸びたというわけです。

 モコモコした形状、きれいな緑色で、甘みがあって食べやすい。茹でてそのままマヨネーズを付けても、また、サラダやシチューなどの料理、お弁当の彩りにも最適です。

 アブラナ科の野菜のがん予防効果が期待され、新芽であるブロッコリースプラウトも人気です。また、野菜の中ではタンパク質量が多く、キャベツの約5倍、ダイコンの約13倍含まれています。マッチョマンたちが好んで食べる野菜となりました!

新鮮なブロッコリーは硬めに茹でただけでも美味しい!

*第2回目は、2025年9月2日号に掲載予定です。


プロフィール

吉川雅子(きっかわ まさこ)
マーケティングプランナー
日本野菜ソムリエ協会認定の野菜ソムリエ上級プロや青果物ブランディングマイスター、フードツーリズムマイスターなどの資格を持つ。

札幌市中央区で「アトリエまーくる」主宰し、料理教室や食のワークショップを開催し、原田知世・大泉洋主演の、2012年1月に公開された映画『しあわせのパン』では、フードスタイリストとして映画作りに参加し、北海道の農産物のPRを務める。

著書
『北海道チーズ工房めぐり』(北海道新聞出版センター)
『野菜ソムリエがおすすめする野菜のおいしいお店』(北海道新聞出版センター)
『野菜博士のおくりもの』(レシピと料理担当/中西出版)
『こんな近くに!札幌農業』(札幌農業と歩む会メンバーと共著/共同文化社)

この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2903/

2025年7月22日号 (通算25-08号)

HAL農業賞受賞者を交えての勉強会開催

2024年度に20回目のHAL農業賞贈呈式を行った。20年の歴史がある表彰制度になったのだ。かつては、それまでの受賞者を招いて贈呈式を開催していたが、コロナ禍の影響もあり、ここ数年は受賞者と少数のゲストのみで行っていた。

このHAL農業賞を受賞した経営者の経験をさらに広めるために、今年度から試験的に「HAL農業賞受賞者の声を聞く勉強会」を開催することとし、その1回目を名寄市風連で6月25日に開催した。

会場となった、風連もち米の里は道の駅「もち米の里☆なよろ」の旧建物で、第1回HAL農業賞地域特別賞を受賞した(株)もち米の里 ふうれん特産館の社屋でもある。今回、この勉強会の趣旨に賛同し、会場を使わせていただいた。

話題提供者には、もち米の里 ふうれん特産館の堀江さん、また第6回HAL農業賞チャレンジ賞を受賞した中富良野町、天心農場の北川さんも駆けつけてくれた。

午後2時から開催予定であったが、参加者が集まった1時半から勉強会を開催。今回は道北地方を中心に名寄市5名、旭川市1名、北広島市1名、当麻町2名、雨竜町1名、中富良野町1名、小平町1名、合計12名の参加があった。

始めに、筆者(HAL財団 上野貴之)から「今年の春からの営農状況。困ったこと、良かったこと」について参加者に発言を求めた。この手の勉強会では、話を聞くだけで発言の機会をなかなか作ることができない場合が多いが、10名程度であれば全員が何かしら発言することができる。そこが大きな狙いの一つでもあった。様々な発言が出てきたが、特に参加者の多くが語ったのが、今年の春はなかなか気温が上がらず、大型連休の最中にも雪が降るなど、春先の作業がずいぶんと遅れ、あるいは大変な状況だったことだ。

今回の勉強会は、特定のテーマを設けずに、HAL農業賞受賞者の経験を聞き、あるいは参加者の発言をもとにみんなでディスカッションを進めていく方法で行った。農業資材の話や防除の方法、あるいは植え付けの技術的な課題にまで話が及び、質疑応答が常に飛び交う活気あふれる勉強会となった。

参加者の声を拾うと

Hさん(名寄市):同じ地域に住んでいても、それぞれの営農の実際を今まで知る機会はなく、非常に勉強になった。
特に、新しい資材の使い方に関しては、若い人はすべて教えあっているのが驚きだった。私たちの世代では、失敗すると隠す、成功すると教えないのが普通だったが、今の若い世代は失敗も成功もみんなで共有している。これは力強い農業につながると思った。

Kさん(名寄市):今まで感覚で理解していた言葉を科学的根拠で理解することができた。多くの経験を持っている人の声はとても貴重だった。また、諸先輩の農業技術に対しての真摯な姿は、これまで経験したことのないレベルで驚いたが、ぜひ自分でも取り入れていきたいと思った。特に株間を1㎝単位で考え、実践していることは衝撃だった。

勉強会を終え、名寄市内の焼肉店で懇親会を開催したが、全員が車で来ているため、ノンアルコールでの会食だった。それにも関わらず、夕刻5時半から夜9時まで大いに語らい、真剣に情報交換が繰り広げられていた。

HAL財団では、HAL農業賞受賞者を話題提供者とした小さな勉強会を開催いたします。ご希望がありましたら、HAL財団企画室までお寄せください。

(取材・記事:企画室 上野)

取材協力
(株)もち米の里 ふうれん特産館  URL:https://mochigome.jp/

この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2834/

2025年7月8日号 (通算25-07号)

32回目を迎えた「花フェスタ札幌」

今年も、札幌の初夏を彩る花フェスタの時期がやってきた。大通公園の4丁目から8丁目までが色とりどりの花と緑で囲まれ癒しの空間となる。
造園業者の花壇や、花き・園芸用品の販売、飲食ブースなど、初夏の札幌を代表する一大イベント。花き販売は、鉢花を買い求める人で賑わっていた。



花フェスタに合わせて行われる農業高校生によるガーデニングコンテスト(ガーデニング甲子園)も気になるところ。
昨年の大賞は、静内農業高校。地元の新ひだか町がデルフィニウム全道一の産地であることから、デルフィニウムをメインに、青色のグラデーションを見事に表現し、幸せを呼ぶ青い庭というテーマそのものの作品を作り上げていた。ガーデニングの素晴らしさはもちろんのこと、地元名産の花を使うことで、地産地消も体現する作品だった。
さて、今年は、どこが大賞をとるのか。道内の11校16チームが参加して競った。



なんと、今年の大賞は、昨年に引き続き、静内高校!
地元のデルフィニウムをメインにしたのは昨年と同じ。今年はさらに、地元の新ひだか町が有数の馬産地であることから、幸福を呼ぶ馬の蹄鉄をモチーフに日高山脈を表現した作品となったのだ。暑さの続く中、そこだけ爽やかな風が吹いているように感じられた。

大賞の静内農業高校「Something Blue ~蹄鉄と花が紡ぐ幸せの庭~」

続いて、準大賞は2校。まずは、新十津川農業高校A。色とりどりの植物で、大地の恵みを表現していた。

準大賞の新十津川農業高校A「大地の恵み」

同じく準大賞は、剣淵高校。剣淵町は絵本の里であることから、桃太郎をモチーフにした作品。きびだんごに見立てた玉をスタートから転がすと、花々の間をすり抜け、音を奏でるという楽しい作品に仕上がっていた。

準大賞の剣淵高校「剣淵桃太郎の鬼退治!」

そして、皆さんからの投票で決まるSNS賞は、倶知安農業高校が受賞。右側で自然豊かな夏を、左側はスキーリゾート地のヒラフエリアを再現し、倶知安町の夏と冬を表現。また、前面に倶知安町特産のジャガイモを配置することで、倶知安町の魅力にあふれた作品となっていた。

SNS賞の倶知安農業高校「Blooming Together ~共に咲こう!~」

この他、特別賞には旭川農業高校Aが、奨励賞には新十津川農業高校Bが、それぞれ選ばれた。

特別賞の旭川農業高校A「持続可能な街「あさひかわ」」
奨励賞の新十津川農業高校B「ガーデニングを楽しむ空間」

ガーデニングのデザインや技術はもちろんのこと、地元をアピールするコンセプトも練られている作品の数々に、道行く人も足を止めていた。来年もまた、どんな作品が仕上がるのか。楽しみでならない。

(記事:総務部 山 京)

この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2823/

2025年6月24日号(通算25-06号)

農の先にある仕事

農業の関連事業と訊かれると、食品(加工食品)であったり、いわゆる六次化のファームレストラン、加工品、ファームインなど農産物を利用したものをイメージするだろう。今回、取り上げるのは「羊毛」だ。羊毛も農業関連産業なのだと気づかされる作業を見学した。
大型連休と言っても肌寒い4月27日に当別町のファームエイジ敷地内で行われたのが、羊毛を作る第一歩の作業だ。

「松尾めん羊牧場の羊の毛を刈り、綺麗にする作業があるので見学に来ませんか?」と、テキスタイル作家の下村好子さんからお誘いがあったのは4月中旬のこと。普段、農業の六次化や加工品、経営のことを調査、取材しているが、「羊毛」も農業の関連産業であることに改めて気づき、これは行くしかないとカメラを持って訪問した。

松尾めん羊牧場(農業生産法人 株式会社松尾めん羊牧場)は、松尾という名前を聞くと北海道の人にはあまりに身近な松尾ジンギスカン(株式会社マツオ)の関連会社で滝川市に7.5haを超える放牧地を持ち、200頭余りのサフォーク種を育てている牧場だ。北海道に住む人にとってはソウルフードの一つであるジンギスカン。事実、(株)マツオは、2016年に「ジンギスカン料理が道民のソウルフードになることに貢献」として、北海道新聞文化賞を受賞しているのである。(第70回(2016年)北海道新聞文化賞【経済部門】)。
今回は、その羊の毛をスカーディングする作業だ。そもそも、羊の毛がどのように毛糸になっていくのかも知らない私は、声をかけてくれた下村さんにその手順を伺った。ざっとこんな流れになるそうだ。

①羊の毛を刈る(時々、ニュース映像などで流れる、電動バリカンで刈る)
これは、当日の午前中に滝川市の松尾めん羊牧場で実施。
②羊毛に至るには、まずはスカーディングというゴミを取り除く作業。
③ゴミを取り除いた羊の毛を洗浄する
④干す
⑤紡ぐ
⑥撚りをかける → 撚りを止める

今回、時間の関係で私が参加したのは、この②の部分である。

10頭分の羊の毛は、このように空き袋を活用し、乗用車で運ばれてきた。




この汚れた部分を手作業で取り除く。これがスカーディング作業だ。


作業の準備を進める下村さん。


ひたすら手作業で汚れた部分を取り除く。


なぜか、羊の毛は「優しい会話」を呼ぶようだ。


一緒にこの作業を行ったのは、ボランティアの方々だ。
当日は、風が強く気温も10℃ほどと肌寒い。しかし、みんな笑顔になっている。
札幌から参加した山本さんは、手作りのモノが好きだということで、この作業に参加するのは2回目。また、店舗デザインなどを手掛ける浜尾さん、そして鈴井さんはご家族での参加。そして、記録写真を撮影していたカメラマンの中嶋さんまでも参加。みんなでワイワイ話をしながらの作業は寒さを忘れさせるものだった。

この後、多くの工程を経て、この羊の毛はどうなるのだろう?
下村さんによると、タペストリーになるらしい。そして、その秘密はここに参加している人が店舗デザインを手掛けている会社の人ということもあるようだ。

(取材・記事:企画室 上野)

取材協力
 下村好子さんURL:  https://webkoko.com
 株式会社ワークスワーク URL:https://worksworks.jp
 ファームエイジ株式会社 URL:https://farmage.co.jp
 株式会社マツオ URL:https://corp.matsuo1956.jp
 農業生産法人 株式会社松尾めん羊牧場 URL: https://www.matsuo-sheep-farm.jp

この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2791/

2025年6月11日号(通算25-号外03号)

満員御礼 HAL農業賞受賞者の声を聞く
名寄地区勉強会開催

満員御礼!

名寄地区勉強会は、大好評につき定員に達しました。
また勉強会を企画します。
ご応募、ありがとうございました。

今までのHAL農業賞受賞者を招き、その経営のポイントを聞き、さらに今年の農業経営の状況、悩みを相談する勉強会を開催します。

【開催概要】

日時: 2025年6月25日(水)13時受付
13:30ころから16:30ころまで
場所: もち米の里ふうれん特産館 旧レストラン会場
注)駐車場は、道の駅、ふうれん特産館の駐車場を利用のこと。
内容: 今年春からの作付け・作業状況を各自から
HAL農業賞受賞企業からの「声」を
終了後に交流会を開催します。

【申し込み方法】

事前メールで受け付け(先着順)

受付期間: 2025年6月11日(水)~定員になるまで
申し込み先: HAL財団
受付メール: ueno@hal.or.jp
★お名前、所属(屋号、会社、団体)、ご住所、電話番号を記載の上、お申込みください。
定員: 10名
対象: 農業従事者
話題提供者: 第1回HAL農業賞地域特別賞  もち米の里ふうれん特産館 堀江英一さん
第6回HAL農業賞 チャレンジ賞 天心農場 北川 和也さん
HAL財団 企画室長  上野貴之
参加費: 無料
会場: もち米の里ふうれん特産館 旧レストラン会場 名寄市風連町西町334−2

★なお、セミナー終了後の交流会も予定しています。(自由参加です。)

主催 一般財団法人 HAL財団
札幌市中央区大通西11丁目4-22 第2大通藤井ビル4階
電話:011-233-0131
担当:企画室 上野
この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2704/

2025年6月11日号 (通算25-号外04号)

満員御礼 今年も開催
街の緑化・デザインの考え方を学ぶ
ミニセミナーのご案内

満員御礼!

ミニセミナーは、大好評につき定員に達しました。
またミニセミナーを企画します。
ご応募、ありがとうございました。

街中の景観はどのような観点で作られているのか、それを学ぶミニセミナー第2弾!

また、HAL農業賞受賞企業の緑化の取り組みを紹介し、これからの企業活動での緑化の大切さも学びます。

【開催概要】

日時: 2025年8月1日(金)13時受付
13:30~15:30 講演
休憩
15:45~16:45 「HAL農業賞受賞企業」緑化の事例紹介
ファーム花茶 小栗美恵さん
公園PFIの取り組み
HAL農業賞アンバサダー 林 匡宏さん
参加費: 無料
会場: HAL財団セミナールーム
札幌市中央区大通西11丁目 第2大通藤井ビル4階

★なお、セミナー終了後の交流会も予定しています。(自由参加です。)

【申し込み方法】

事前メールで受け付け(先着順)

受付期間: 2025年6月11日(水)~定員になるまで
申し込み先: HAL財団
受付メール: ueno@hal.or.jp
★お名前、所属(屋号、会社、団体)、ご住所、電話番号を記載の上、お申込みください。
定員: 8名
対象: 農業従事者(花卉含む) 造園、園芸の方など
講師: 株式会社和泉園 代表取締役社長 東京農業大学非常勤講師 白井 真一さん
話題提供者: ファーム花茶  オーナー 小栗 美恵さん
HAL農業賞アンバサダー(絵師、デザイン学博士) 林 匡宏さん
主催 一般財団法人 HAL財団
札幌市中央区大通西11丁目4-22 第2大通藤井ビル4階
電話:011-233-0131
担当:企画室 上野
この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2702/

2025年6月11日号(通算25-号外01号)

HAL農業賞受賞者の声を聞く
名寄地区勉強会開催

今までのHAL農業賞受賞者を招き、その経営のポイントを聞き、さらに今年の農業経営の状況、悩みを相談する勉強会を開催します。

【開催概要】

日時: 2025年6月25日(水)13時受付
13:30ころから16:30ころまで
場所: もち米の里ふうれん特産館 旧レストラン会場
注)駐車場は、道の駅、ふうれん特産館の駐車場を利用のこと。
内容: 今年春からの作付け・作業状況を各自から
HAL農業賞受賞企業からの「声」を
終了後に交流会を開催します。

【申し込み方法】

事前メールで受け付け(先着順)

受付期間: 2025年6月11日(水)~定員になるまで
申し込み先: HAL財団
受付メール: ueno@hal.or.jp
★お名前、所属(屋号、会社、団体)、ご住所、電話番号を記載の上、お申込みください。
定員: 10名
対象: 農業従事者
話題提供者: 第1回HAL農業賞地域特別賞  もち米の里ふうれん特産館 堀江英一さん
第6回HAL農業賞 チャレンジ賞 天心農場 北川 和也さん
HAL財団 企画室長  上野貴之
参加費: 無料
会場: もち米の里ふうれん特産館 旧レストラン会場 名寄市風連町西町334−2

★なお、セミナー終了後の交流会も予定しています。(自由参加です。)

主催 一般財団法人 HAL財団
札幌市中央区大通西11丁目4-22 第2大通藤井ビル4階
電話:011-233-0131
担当:企画室 上野
この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/2698/

2025年6月11日号 (通算25-号外02号)

今年も開催
街の緑化・デザインの考え方を学ぶ
ミニセミナーのご案内

街中の景観はどのような観点で作られているのか、それを学ぶミニセミナー第2弾!

また、HAL農業賞受賞企業の緑化の取り組みを紹介し、これからの企業活動での緑化の大切さも学びます。

【開催概要】

日時: 2025年8月1日(金)13時受付
13:30~15:30 講演
休憩
15:45~16:45 「HAL農業賞受賞企業」緑化の事例紹介
ファーム花茶 小栗美恵さん
公園PFIの取り組み
HAL農業賞アンバサダー 林 匡宏さん
参加費: 無料
会場: HAL財団セミナールーム
札幌市中央区大通西11丁目 第2大通藤井ビル4階

★なお、セミナー終了後の交流会も予定しています。(自由参加です。)

【申し込み方法】

事前メールで受け付け(先着順)

受付期間: 2025年6月11日(水)~定員になるまで
申し込み先: HAL財団
受付メール: ueno@hal.or.jp
★お名前、所属(屋号、会社、団体)、ご住所、電話番号を記載の上、お申込みください。
定員: 8名
対象: 農業従事者(花卉含む) 造園、園芸の方など
講師: 株式会社和泉園 代表取締役社長 東京農業大学非常勤講師 白井 真一さん
話題提供者: ファーム花茶  オーナー 小栗 美恵さん
HAL農業賞アンバサダー(絵師、デザイン学博士) 林 匡宏さん
主催 一般財団法人 HAL財団
札幌市中央区大通西11丁目4-22 第2大通藤井ビル4階
電話:011-233-0131
担当:企画室 上野
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2025年 6月10日号 (通算25-05号)

GW中の農作業

 長い人で11連休と、世間が大型連休を満喫している中、農家は繁忙期。どんな作業をしているのか、ほんの一端をのぞかせてもらった。

 今年の収穫の土台となる仕事は、農機具の整備、圃場の準備作業や周辺環境の整理などだ。農地まわりが整備されていなかったり、機械が動かなければ、その時点で作業が滞ってしまう。送られてきた情報や写真を見ると農作業をスムーズに行うための様々なウォームアップともいえる作業が行われているのが分かった。

地域の皆さん総出での水路掃除
潅水装置のノズル調整
オイル交換をしてから動作確認

農作業の根幹といえる圃場の整備。農機具の準備や周辺環境の整理と日程を上手に調整して作業に取り掛かる。この作業が今年の収穫に大きく影響を与えるのだ。ここを手抜かりなく行うことが肝心だという。

土を掘り起こしていく

水はけの悪い高台の田んぼで溝切を入れていたところ、後輪が大変な状態に。雨が多く寒い日が続いた今年の天候は、過酷な春を招いてしまったようだ。

広大な農地に石灰散布中

                 

 この時期、圃場の整備と並行して行われるのが種もみまきだ。さらには、育苗するものや播種するもの、そして苗を植え付けする準備も進められている。
 種は足りるか、床土や覆土の量は大丈夫かなど毎年のこととはいえ心配しながらの作業だ。

種もみまき
播種後の散水。ここまで来ると一安心
酒米の育苗。美味しくなれ、と願いながら育てる

 GW中に行う作業は、これから育つ農作物に対してだけではない。秋まき小麦の畑には除草作業や栄養剤の散布。そして、春掘りごぼうの収穫などもある。

秋まき小麦畑
ごぼうの収穫

 今年のGW前後は気温が上がらず、雨も多かった。そのため、農家にとっては厳しい天候となってしまった。しかし、5月下旬になり作業も本格化してきている。自然災害や天候不順など、予測のつかない中での作業は困難がつきまとうが、奮闘している農家の様子を今後も伝えていきたい。

Special Thanks
写真・情報提供をいただいた皆さんをちょっとだけご紹介します。

Iグループと呼ばれている同じ苗字の①~③

石狩管内 I①さん
留萌管内 I②さん
釧路管内 I③さん

ハンターでスキー・スノボの先生兼米農家

後志管内 Oさん

YouTuber もち米農家

空知管内 Kさん

いつでもタンクトップ ほうれん草農家

上川管内 Kさん

耕作面積は見渡す限り!巨大法人の幹部

空知管内 Jさん

髪色もカラフル!お米から野菜のファーマー

石狩管内 Tさん

後継者もそろそろ活躍

胆振管内 Mさん

先駆者中の先駆者

後志管内 Yさん

(取材・記事:総務部 山)

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