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調査研究レポート

ベスト経営ウォッチング
第3回HAL農業賞神内大賞 有限会社ホープランド(幕別町)
ベスト経営ウォッチング

 三回目を迎えたHAL農業賞。第一回の旭川市谷口農場、第二回は苫前町の無限樹と、北海道の農業法人をけん引してきた企業が受賞してきた。今回は、十勝管内幕別町の有限会社北海道ホープランドがHAL農業賞・神内大賞を受賞した。
HAL農業賞は、企業的経営の農業を推進させていく上で模範(目標)となる農業企業、企業化が進んでいる農業企業、営農団体に贈られるものである。HAL農業賞には、農業の新しい経営スタイルとなる企業的経営に目を向け、さらにそれを促進させる狙いがあるのである。

《十勝の大平原の中で》

 北海道ホープランドは、札幌から向かうと、日高山脈を越え、広大な十勝平野をひた走り、帯広市内を通り抜け、二〇分ほど国道38号線を走ると、左手に同社が運営する幕別いちご園が道路わきに見えてくる。このいちご園をはじめ、農業体験、ネットショップ、畑のオーナー制度など幅広い事業を展開している北海道ホープランドを訪ねた。
《経営を守るために企業化》
 一九八一年に企業化した同社は、資本金三,〇〇〇万円、売上高九,〇〇〇万円に達する農業企業である。
 社長の妹尾英美さんは、同社の研修センターで筆者を出迎えてくれた。柔和な表情、はにかむような笑顔。本当に十勝の大地をイメージさせる人というのが第一印象だ。
 妹尾さんが、法人化したのは、三十六歳のときという。岡山から入植し、代々大地を開拓し、それまでの基盤をつくってきて、法人化する。そのきっかけに筆者は興味を抱き、質問すると、「自分の経営を守るためには法人化、企業化が必要であると確信していた」という。
 当時でもいくつかの法人があったが、その多くは税制上の判断で法人化しているもので、当時の妹尾さんが目指していたのとは違っていたという。ただ、設立に関する事務処理などでは、ノウハウの蓄積があり、会社設立の事務的な部分では大きな困難はなかったという。
 しかし、その後、経営を進めていく上では、資金調達の面で非常に苦労を強いられたという。

《事業を進めるために仲間を》

 妹尾さんは、中小企業家同友会に加盟している。今でこそ、各地の同友会には農業経営部会があるが、この農業経営部会を全国で初めて作ったのも、妹尾さんらを始めとする、十勝の農業経営者であったという。この部会や同友会活動を通じ、農業の応援団的動きもあるという。農業経営部会には、農業経営者以外にも、農業関連企業、一般企業なども入っており、農業の応援団的様相を示しているという。
 この同友会の活動が、当初の事業活動を進めるに当たって、非常に心強いものとなったという。幕別町では、妹尾さん一人だったが、十勝管内では同時期に法人化・企業化した農業経営者も多く、その場で共通する悩みや解決策を話し合ったという。その仲間との絆は、現在においても強固なもので、帯広市内で有名な「北の屋台」に「農屋(みのりや)」という飲食店をオープンさせるまでになった。農屋のホームページによると、(以下引用)〜十勝平野を愛する農家のおやじ四人が、「もっと消費者と交流したい」と、十勝の新鮮野菜、乳製品、ステーキ、ハンバーグなど、おいしさはもちろんのこと、食の安全、安心を提供しています。メニューは、すべて四人の生産物で調理。「自分が愛情込めて作ったものが何より」と、自信とこだわりがある四人が、食材の特徴を生かした農家ならではのメニューを試行錯誤。季節によって旬の味が楽しめ、メニューも季節によって変わりますので、屋台で季節の移り変わりを感じることができます。〜という特徴を全面に打ち出した飲食店である。
 同友会という場が、情報交換だけではなく、仲間をつくり、新たな事業へとつながる出発点になったのである。

《消費者とのつながり》

 昭和四十七年ころから、道外とのつながりが大きくなったという。きっかけは、海外研修で一緒になった神奈川県からの参加者と悩みなどを話しているうちに、意気投合し、神奈川県での農産物の販売を始めることになったのである。当時は、地域生協が出来始めたころで、新興住宅地を中心とした店舗への直接取引もあったという。まさに時代の先取りである。この時に設立された組織は、その後、生協の合併などもあったが、主体的な活動は変わらず、神奈川農畜産物供給センターという会社組織として、生産物を消費者に販売する活動を現在も続けているという。さらに、「生産者と消費者が手を結ぶ会」という組織を作り、消費者には農業への理解を、生産者は消費者の声を聞く場にしているという。まさに、生産者の見える活動を長きにわたって行ってきたことが分かる。

《国際感覚・国際貢献》

 ここ北海道ホープランドでは、海外からの研修生の受け入れだけではなく、ベトナムには、国立フエ大学と協力し、現地に試験農場を開設。現地の農業者に必要な技術指導の場所を提供するとともに、実際の指導も行っているのである。本当に現地の人が必要とする支援を行う。これは、本当に消費者が必要とする農産物を作り届けるということと同じ発想なのだと筆者は感じたのである。形だけの国際貢献や金銭的なものが大部分のなか、このような取り組みは大いに評価されるべきである。

平成19年12月1日号『月刊ニューカントリー』645号掲載
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