広報

北海道農業・元気プロジェクト

2008/9/3

HAL財団とイオン(株)の直接取引始まる!

燃料費・肥料・資材等の高騰により、農業経営における生産コストが増大しています。
一方、生産物の流通価格は低迷を余儀なくされているのが現状です。
農業生産者の収入を確保する手段として、今、既存の流通システムの改革が求められています。

生産者と消費者、相互利益を図るシステム

  HAL財団・流通開発部が担当する特別栽培のHAL認証農産物生産・流通システム開発研究事業が平成18年度より始まり、今年度で3年目を迎えています。
「HAL認証農産物」は、HAL財団として認証制度を樹立する事により製造者責任(安全と安心)の持てる農産物の生産システムの確立と、現状の複雑な流通を簡素化することでの中間流通経費の削減、農業所得の拡大と安定のための流通システムの確立を目的とした開発研究事業を進めています。
初年度は札幌事務所を拠点に一切の施設を持たずに事業をスタートさせましたが、取扱い生産物や参加生産者が増加したため、昨年9月、流通コストの低減を目的として恵庭市戸磯に「HAL流通研究センター」を建設。道内では他に類のない最先端施設により馬鈴薯・玉ねぎの選果、パッケージ、貯蔵が行なわれるようになりました。12月出しの南瓜の貯蔵も行なわれ、食味の良い南瓜として評価されています。
当初、7品目の野菜で始まりましたが、昨年からは大豆、麦、更に今年度はそば、ほうれん草、長ネギも加わり12品目の「HAL認証農産物」の取り扱いがおこなわれています。
3年目の事業開始時点で、参加生産者らによる組織「HAL認証農産物」協議会(会長大川博文)も設立されました。 「HAL認証農産物」は環境保全に配慮した特別栽培基準による管理で安全と安心、食味の良い農産物の生産と、再生産価格の確保を目標にした流通・販売がされていますが、現在、その売り先はイオンを主体にした取り組みとなっています。
「HAL認証農産物」は関係者の協力と生産者の努力により着実な前進と進化を続けておりますが、一方で、国内の多くの農業関連事業と同様、農業生産コストの異常とも言える大幅な上昇により、安定した農業経営の継続が困難な状況になってきているという問題を抱えています。
流通開発部としては、再生産価格の確保を目標に事業展開していますが、その実現のためには、

1 単位生産量と品質の向上対策
2 生産資材費の低減対策
3 特別栽培農産物の有利販売対策
4 流通経費(輸送料、選果料、パッケージ料、保管料、中間流通事業者手数料)の低減対策


以上の項目について、農業所得を高め安定化していくための対策を生産者と共に実践しています。
その対策の一つとして、2年間取引してきた中間流通業者との契約を取りやめ、今年度からは、HAL財団とイオンが直接取引を行なうこととしました。
この実現のためにイオンからは多くの条件が出され時間もかかりましたが、その全てをクリアし、この程、「直接口座」の開設が実現致しました。この間、イオン本社からの近澤常務一行、イオントップバリュウ朝長社長一行が恵庭に来られ、取扱品目と量の拡大、新しい商品開発を共同で取り組むことなどを確認。直接取引の実現により、中間経費を削減することができ、生産者・消費者ともにメリットのあるシステムが誕生しました。(図1)流通開発部では「東京オフィス」を開設し、イオン関連会社各店舗からの受発注と量販店へのマーケティング業務を行っていきます。
流通開発部としての業務は大幅に増えかつ複雑になっていきますが、職員と生産者が目標達成のために更に努力をしていくことで、事業目標でもある北海道農業の改革と発展への貢献を目指していきます。
3年目を迎え、「HAL認証農産物」に対する評価も高まり、需要先からの希望量も増えております。今後は事業に賛同する生産者を拡大し、HAL財団が目指す北海道農業の新たなシステム開発をより確かなものとして実現していきます。


図1 北海道農業・元気プロジェクトの流通システムフロー

 

「HAL有機」肥料に関する取り組み

1.開発の経緯

  HAL財団・HAL流通研究センター(恵庭市)では、消費者に対して製造者責任を持ち、「安全と安心」を提供することができる「HAL認証農産物」の生産・流通システム構築のための事業を行っています。その「HAL認証農産物」認証基準の一つとして化学合成窒素の50%以上減があり、不足する窒素分を有機質肥料(窒素)で補完することとなります。しかし有機質肥料は多くのメーカーから販売されており、原料、価格、成分、施肥効果などがまちまちであるため、HAL認証農産物協議会の会員から以下の条件を満たす有機質肥料を開発し・販売してほしいとの要望が多く寄せられました。

有機原料がはっきりしたもの
有機成分が保障されているもの
施肥効果がはっきりしているもの
有機質成分が50%前後あるもの
価格が適正なもの

これを受け、HAL財団では安心して使用することができる有機質肥料を開発する肥料メーカーとの共同プロジェクトを、平成18年より開始。一昨年度、HAL財団で取り扱う玉ねぎ、馬鈴薯などの道内各生産地で試作肥料の施肥効果試験を行い、一定以上の効果を確認できました。

2.「HAL有機」肥料の種類

  平成20年6月20日付で農林水産大臣の認定を受け、肥料取締法第16条の2第1項の規定により、HAL財団として肥料の製造(委託製造)・販売を行なうことが可能になりました。現在、下記4銘柄を製造(委託製造)・販売しています。

HAL有機825号(8-12-5)窒素8%の内、4.2%が有機質窒素
HAL有機470号(4-17-10)窒素4%の内、2.2%が有機質窒素
HAL有機741号(7-4-1)窒素7%の内、7%が有機質窒素(未発酵)
HALぼかし620号(6-2-0)窒素6%の内、6%が有機質窒素(ぼかし)

今年度から始まっている、HAL認証小麦に対しても「HAL有機」肥料(小麦用有機質肥料)の試作品による栽培試験を行ない、次年度以降、提案していく予定です。

3.今年度の「HAL有機」肥料の価格

  今年度の肥料価格は、異常な高騰となり農業経営に大きな影響を与えました。このため、土壌診断を行っての適正な施肥量や施肥法、少肥栽培、品目選定、総合的な土つくりなどにより、肥料コストの低減対策の実践が重要となっています。
肥料価格の高騰の中、「HAL有機」肥料の価格見直しも必要になっていますが、少しでも安い価格で提案できるよう今後、会員に提案する予定です。

少量商品を買い支える共同購入の仕組み

  北海道農業にとって物流は大きな障壁のひとつですが、その中でも少量商品の普及を阻害する大きな要因と言えます。物流コストを売価に乗せると、商品の店頭価格が高くなるため、結果として消費者の手に取ってもらえないことになります。一方で、こうした少量商品は、その希少性から消費者や小規模のレストランなど実需者の需要が高まっている背景があります。
このような売りたい側と買いたい側を結びつけるスキームとして、HAL財団では共同購入ネットワークAmigo(図1)を組織しました。まずはHALだよりvol.11でご紹介した雑穀を普及させる取組みとして、雑穀を嗜好する主婦層をターゲットとした展開を5月から試験的に開始。札幌市内に在住する10人の主婦層を核として、町内会やサークル会員へと広がり、北海道産の雑穀を支える輪が広まりを見せつつあります。今後は札幌の商店街と連携をしながら、小さなレストランのネットワークへの展開を図っていきたいと考えています。



図1

共同購入ネットワーク「Amigo」の特徴

1.共同購入参加者により流通コストの按分
2.既存流通では流通しづらい希少商品の流通
3.生産者と消費者の直接的な架け橋


<お問い合わせ先>
ほっかいどう本舗 あみーご事務局(HAL財団札幌事務所内)
TEL 011-233-0131 FAX 011-233-0133
E-mail: amigo@hal.or.jp


農産物の海外流通に向けた検討

  北海道産農産物の海外流通を検証するため、現地の百貨店において野菜セット商品予約販売の課題整理及び実証実験を予定しています。
海外の富裕層を中心に、品質の高い北海道の農産物に対する需要は高まりつつあります。少子化に伴い国内市場の将来的な縮小が避けられない中、農産物の輸出拡大は選択肢のひとつであることに間違いありませんが、輸出の増加が必ずしも生産者の所得向上につながっている訳ではありません。また海外で農産物が高値で取り引きされているのは事実でありますが、そのかなりの部分は物流コストや商社など中間コストとして消えているのが現状です。HAL財団では、中間業者を極力減らし、いかに生産者と消費者をシンプルに結ぶかが海外流通における成功の鍵となるのではないかと考えています。今回の実証実験を通じて、生産者の所得向上につながる海外流通モデルの検証に取り組んで参ります。
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